|
『私の諸論文において明らかである、と私が信じております目標のいくつかは、きわめて多くの日本の方がたによって共有されている目標でありますが、次のような簡潔な言い方で公式化されるでしょう。 「個人を、現にあるがままで、また、将来なるであろうそのままで、尊敬し尊重すること」 「人間の成長可能性――個人がなんらかの促進的な心理的風土にさらされるときに明らかとなる――を信頼すること」 「人が、自分自身の経験に対してもっと心を開き、自分自身の感情や知覚に対してもっと敏感であるように激励すること」 「人間相互の関係やグループで生きている状況において、もっと深く、しかももっと直接的に気持ちをつうじ合うように激励し、そしてもっと有意義かつ相互的な理解を打ち立てること」 「カウンセリングやサイコセラピィをとおしてであろうと、臨床的なソーシャル・ワークをとおしてであろうと、師弟の接触をとおしてであろうと、あるいは家族や友人のきずなにおいてであろうと――なんらかの援助的な関係を用意する能力をもっと大きく発展させること」 「この急速に変化している今日の世界において行為するための、有意義な道案内の綱を用意するような、個人を尊重するなんらかの過程を発展すること」 「上述したような尊敬、寛大さ、および理解のある伝達交流に基礎づけられた、もっと安定した満足のゆく文化を、国家的に、また、国家間的に、発展させること」 私は、日本が、アメリカ合衆国やその他のきわめて工業化され都会化された国ぐにと同じように、何か内面的な危機のようなものを経験しつつあることを、よく知っております。個人は尋ねております。“わたくしはだれなのか?”と。個人が属する社会は個人と一緒になって尋ねております。“われわれの目標はいったい何なのか?”、“われわれの価値はいったい何なのか?”、“われわれはいったい、人生へどうアプローチしたらよいのか?”と。私は、私自身の国において、このような疑問があることを非常によく知っております。私は、1961年に日本を訪れていたとき、日本にもこのような疑問があることをはっきりと知るようになりました。 サイコセラピィに存在する、密接な、しかもあらわにしてゆく関係における個人個人の行動を検討することにより、なんらかの光がこれらの疑問に投じられるであろうことを、私は確信いたしております。深い関係を理解すること、また、ひとびとがそのような関係に関心を寄せる寄せ方は、万人を援助して、もっと適切に人間の本性やなんらかの関係において、自分を解放し、もっと自分自身になろうとする人間の奮闘努力の特質を、理解することができるようにするでしょう。』(以下略) 上掲したのは、1966年に刊行された『ロジャーズ全集』(岩崎学術出版社)の巻頭に掲載されている「日本の読者へ ―ロジャーズ全集刊行にさいして―」と題されたロジャーズ博士の論文です。 私たち日本カウンセリング・センターの活動理念と実践とを、“もっとも適切に示している文章”に思われましたので、ここに転載させていただきました。 もしも、ロジャーズ博士がこの記述によって示している方向にわずかでも“関心を持った”という人が存在するなら、その人に対して、「われわれと一緒に“カウンセリングということ”を探求していきませんか?」と、誘いの手を差し伸べたい気持ちで私たちはおります。(2008/03/31) 「心理カウンセラーになるためには、どうすればいいのか?」とか、「カウンセラー養成講座に通ってみたいが、どの団体の講座が一番良いか?」とか、「私は単なる資格ではなく、プロのカウンセラーとして飯が食っていけるだけの実力を養いたいのだが、そのためにはどうすればいいか?」という類の質問を、私は先輩カウンセラーとして、たびたび受けることがあります。 これらの問いは私にとっても難問で、正直「こっちが教えてほしいよ!」と内心では思ってたりするわけです。が、そもそもその、「カウンセラーになる」とはどういう意味なんでしょうか? それは「カウンセラーの資格を取得する」のと同じ意味なんでしょうか? 私の師匠でもあり、日本カウンセリング・センターの創設者でもある故・友田不二男先生は、いわゆる「資格制度」には反対の立場を表明し、こう述べます。「資格を持っている人は食べることはできる。食べていくには不自由しなくなるが、肝心のカウンセリングのほうはさっぱりだ、というような現実がもう、あちらこちらで起きてるのではないか?」と。 たしかに、同じ国家資格を持っている医師の中に「名医」と「ヤブ医者」が存在するのと同様の現象が、カウンセリング業界においても等しく起こっているのはまぎれもない事実なのでしょう。しかし現実的には、開業したばかりの、もしくは今後開業しようと企てているカウンセラーのほとんどが、「資格があるから食うには困らない」と呼べるような状況には程遠いことを、誰よりも本人自身がリアルに実感しているのも、これまた事実ではないでしょうか? 「資格を持ってるだけじゃ、ダメなんだ。『真の意味での実力』を身に付けなければ、この世界ではやっていけないのだ!」という現実の壁にぶつかったとき、自分自身を修練する場としての本物のカウンセリング講座が必要になってくるのです。そして、そのような学習の場を提供しているのが、私が推薦する日本カウンセリング・センターのカウンセリング研究会です。 このような書き方をすると、「とてもレベルが高い、専門家向けの講座だな」という印象を受けるかもしれませんが、初心者向けの入門コースもちゃんと用意してあります。私自身も平成8年度のカウンセリング入門を受講したのが、カウンセリングとの最初の出会いでした。 その後、平成13年に心理カウンセリングルームを自宅で開業し、現在では上述したように一応は専門家らしい(?)発言ができるほどになってますから(笑)、このことが何よりも「日本カウンセリング・センターが開催している講座の学習効果がいかに高いか」を、事実として証明してくれているように私には思えます。(2005/03/04)
|
|||||||